メモの効用やメモ術について紹介します。 レオナルド・ダ・ヴィンチやトーマス・エジソンといった偉人たちも、大量のメモを取り、見返してはまたメモを取ることを繰り返していたそうです。 自分のお気に入りのメモ術を見つけて、よりよいメモライフを送りましょう。
メモとは何か?
メモとは、一時的な記録として、短い文章や画像などを記録しておくことです。 誰かに情報を伝えるためにも使われますが、主に自分のためのものです。
ただし、英語でmemoというとmemorandumのことを指し、これは覚書や回覧板、つまり、誰かに連絡するためのものという意味合いが強いようです。 日本語で言うメモに対応するのは、noteのほうがより適切でしょう。
メモは脳の外部記憶である
誰かに連絡するためのメモであれば、記録をすることで効率的に伝えることができるわけですから、メモの意味があります。 では、自分のためのメモは何のために取るのでしょうか?
1つの考え方としては、メモは脳の外部記憶であるというものです。 認知心理学では、脳の記憶は「感覚記憶」と「短期記憶」と「長期記憶」に分かれていて、 現在の認知活動に使用されていないけれど潜在的に利用可能な永続的な記憶は「長期記憶」に保存されるとされています。
「短期記憶」の容量は知られているようにとても小さいものです。 ですので、リアルタイムに次々インプットされる情報をすべて「短期記憶」に留めておくことはできません。 かといって、留められなかったものを「長期記憶」に保存すればいいかというと、そう都合よく保存できるものでもありません。 かくしてインプットされた情報の大部分は忘れられてしまうわけです。
そこで、メモです。 「長期記憶」に保存する代わりにメモを取れば、忘れてしまったとしてもメモを見返すことで思い出すことができます。 メモという外部記憶の力を借りて、「短期記憶」上で思考を巡らせることができます。 ちなみに、「短期記憶」は単なる保管場所ではなく、心的作業を行う場所とされています。
余談1:1日経つと66%忘れる?
エビングハウスの忘却曲線で有名ですが、実際の定義は以下の通りです。
- 20分後には、節約率が58%であった。
- 1時間後には、節約率が44%であった。
- 約9時間後には、節約率は35%であった。
- 1日後には、節約率が34%であった。
- 2日後には、節約率が27%であった。
- 6日後には、節約率が25%であった。
- 1ヶ月後には、節約率が21%であった。
節約率というのは、再学習に要した時間をどれくらい節約できたかというもので、忘れた割合ではありません。 また、研究はエビングハウス本人のみで実施しており、一般的な他の人にも当てはまるとは限らないということはエビングハウス本人も言及しています。
- [1]『記憶について : 実験心理学への貢献』 "Memory: A Contribution to Experimental Psychology".New York: Dover.1885年 https://web.archive.org/web/20051218083239/http://psy.ed.asu.edu/~classics/Ebbinghaus/index.htm
余談2:短期記憶で覚えられるのは7±2個?
アメリカの心理学者ジョージ・ミラーが発見したマジカルナンバー7もしくはミラーの法則と言われているもので、人が一度聞いたあとに同じことを繰り返せる情報の量は7個前後になるというものです。
このときの情報の量はチャンクという単位で記憶される量であり、文字数ではありません。 したがって、10文字以上の文字列であっても、チャンクに区切れば短期記憶に覚えておくことができます。
例えば、電話番号などは規則性のない10文字以上の数字列ですが、090-1234-5678のように、3~4文字ごとのチャンクを連結させることで覚えられるようになります。 覚えておいたことは、繰り返すことでより長く覚えておくことができます。
短期記憶中に覚えておくことを維持リハーサル、長期記憶で覚えることを精緻化リハーサルと呼びます。 メモを取る行為もリハーサルして覚えることと言えます。
- [2] "The Magical Number Seven, Plus or Minus Two: Some Limits on Our Capacity for Processing Information", George A. Miller, 1956
http://www.musanim.com/miller1956/
メモ術とは
ここまで見てきたように、メモとは単に書くものではなく、記憶の代わりとして記録するものであり、また「長期記憶」に保存された情報と同じく思考に用いるものです。 つまり、メモを取る行為を分解すると、以下のようになります。
- インプットされた情報をすばやくまとめる
- まとめた情報を再利用可能な形で書く
- 書かれた情報をインプット情報として使う
メモは「長期記憶」の代わりですから、「長期記憶」として特性を備えていたほうがより活用しやすくなると言えます。 「長期記憶」には言葉で表すことのできる「宣言的記憶」と潜在的な記憶である「手続き的記憶」があるとされていますが、 主にメモに対応するのは「宣言的記憶」と言えるでしょう。 「宣言的記憶」には、出来事を記録する「エピソード記憶」と知識を記録する「意味記憶」があります。 「意味記憶」のモデルとしては、意味ネットワーク・モデルや活性化拡散モデルやスキーマと呼ばれるものがあります。 簡単に言うと、カテゴリー化する、ネットワーク化するということになります。
メモ術は、以上のようなメモに求められることを具体的に活用するための方法をまとめたものです。
様々なメモ術
ツェッテルカステン
情報を小分けにしてリンクするやり方です。
バレットジャーナル
箇条書きでメモするやり方です。
書籍「メモの魔力」
「抽象」と「転用」に分けてメモを取るやり方です。
ビル・ゲイツのメモ「コーネル式」
「メモ」「疑問点」「概要」に分けてメモを取るやり方です。